ただ、お客さまのお話をお聞きするとニットが苦手な方も多くいらっしゃる印象もあり、 "肌にあたるところがチクチクする”、”重い”、”ごわつく”というお声をお聞きします。 ニットが好きな私でも、やはりチクチクしたり重くて肩が凝りそうに窮屈だったり重いニットは敬遠してしまいます‥
そこで今回はその悩みを和らげる事ができる『カシミヤ』についてご紹介させていただきます。
*カシミヤとは
カシミヤヤギ(冬は極寒、夏は極暑の環境で育ったヤギ)から採取した動物繊維(毛)です。 カシミヤヤギの表面は粗毛で覆われていて、その下に柔らかい産毛があります。 この産毛が「カシミヤ」と呼ばれています。
*カシミヤの特徴
カシミヤヤギは、厳しい冬を生きるために、寒くなるとこの柔毛が生えてきて、春になり暖かくなると、春の毛へと生え変わります。 自然の厳しい寒さに適合するために生えた珍しい特殊な素材なので、保温・保湿性に 優れ、軽くて柔らかい肌触りと光沢のある上品な風合いが特徴です。
獣毛繊維では、上質ウールで約20ミクロン程度に対して、カシミヤは約14-16ミクロンと最も細い繊維です。 (人の毛髪が約40-50ミクロンですので、それに比べますと細さがわかりやすいですね) 束ねて1本の糸を仕上げても他の素材よりも軽量を保つことができ、細い繊維の為しなやかなで肌に刺激が少ない特徴があります。
また外気を遮断し放熱を抑えると言う繊維特徴をもったカシミヤニットは、熱伝導率の低い空気を多く取り込むことが可能で、暖かな空気を内へとため込みます。 更にカシミヤの表面にあるキューティクル構造が空気中の水分の吸収・放出を行い、内部の湿度を調整し蒸れを防ぐ機能性の高さがあります。 これらの性質がカシミヤニットの優れた”軽さ”・”保温性”・”保湿性”を生み出します。
繊維表面には突起の少ないキューティクルが鱗状におおわれています。 突起が少ないことにより表面はフラットな状態となり、光を屈折させずに真っ直ぐに反射することで生まれる”美しい光沢感”最大の魅力です。
最後にカシミヤは非常に伸縮率に優れた素材です。 (羊などの獣毛素材と比較しても、約40%以上伸びがある) これは生地のしなやかさや滑らかさを生むとともに、糸そのものに強い”復元力”を持たします。
*カシミヤのデメリット
カシミヤは良いところ、魅力的なところがたくさんありますが、やはりデメリットもいくつかあるのです‥ カシミヤと長く付き合っていく為にも一緒に学んでいただければと思います!
【毛羽立ちについて】
まずカシミヤは毛羽立ちしやすいのですが、これは極細繊維であるために避けられない現象なのです。 極細で繊維1本の長さが短いので、繊維を集め撚り合わせて1本の糸にしています。 そのため、撚り合わせた繊維の端が飛びだし毛羽になりやすい短繊維ならではの特徴がああるのです。
【ピリング(毛玉)について】
ニットを着用するのに一番気がかりなピリング(毛玉)が発生しやすいという点があります。 糸の種類には大きく分けて、長い繊維が連続した”フィラメント糸”と、短繊維同士を撚ってループ状にし、一本の糸にした”スパン糸”の2つがあります。 ※短繊維=絹以外の天然繊維(綿、麻、毛、カシミヤなど)
フィラメント糸とスパン糸では”糸端の数が違う”という特徴があります。 短い繊維を撚って作られた紡績糸は、糸端が多く存在します。 この糸端同士が絡み合うことで、玉となり”ピリング(毛玉)”が発生します。
また短繊維スパン糸の羊毛やカシミヤの場合は、繊維表面にスケール(キューティクル構造)が存在します。 このスケールの反り返り(突起)同士が、着用中の強い摩擦などで特に絡みやすく、ピリングが発生しやすくなるのです。
以上のことからも、カシミヤは非常にデリケートな素材であるために日々のお手入れが必要になってきます。 せっかく素敵なカシミヤと出会えてもそのまま着用して毛羽だったり毛玉になっていくのも悲しいですよね。
そうならない為にもカシミヤの特徴に適したお手入れ方法をご紹介いたします! またカシミヤのお手入れの際に、注意して頂きたいポイントも合わせてご紹介いたします。 カシミヤ製品のご購入前、ご購入後にご参考いただけますと幸いです。
*カシミヤのお手入れ方法
1.ブラッシング
1日着用すると目には見えなくても、外気の塵やホコリ、湿気や擦れなどで型崩れや毛玉が発生しやすい状態になります。 着用後は形を整え、毛並みにそって細目にブラッシングをかけて表面のホコリをさっと取り除きます。 洋服のお手入れに欠かせない洋服ブラシの毛質には化学素材と天然素材がありますが、繊細なカシミヤ製品には、馬毛か柔らかめの豚毛など毛先が細く弾力のある天然素材を選びましょう。天然素材のブラシはホコリを払うだけでなく油脂を補いカシミヤ独自の光沢や油分を保つ働きもあります。
2.シミを取るには
カシミヤにシミが出来てしまった場合、そのシミが虫食いの原因となってしまう場合があります。 まず中性洗剤を薄めたタオルで軽くたたき、洗剤塗布部分を水でぬらしたタオルで同様に軽くたたいて洗剤を除去ししっかり乾燥させ、最後に洋服ブラシで毛並みを整えるとよいです。汚れや汗を放置している場合も変色や虫食いの原因になります。汚れや汗をかいたと思ったら、すぐにお手入れするのをおすすめいたします。カシミヤは水に弱く毛羽立ちや毛玉ができやすい繊維ですので、タオルは固めに絞ってから擦らずに使うことがポイントです。 またカシミヤは撥水性が弱い為、水分の付いた部分がシミになる場合があります。 その場合はなるべく早めにふき取り、乾いたあとブラッシングをかけ、お手入れをしていただくといいです。
3.ローテーション
長時間着用し続けると型崩れが発生する可能性があります。生地表面の摩擦がピリング(毛玉)が発生する原因となります。 毎日連続して着用する事は控え、”一日着用したら一日休ます”など、ローテーションを組んで着用する事でより長くカシミヤと付き合っていく事ができますね。
4.ピリング(毛玉)が発生したら
繊細な素材ですので、注意をしていても発生してしまう毛玉は、初期の段階であれば、洋服ブラシでブラッシングすることで回復させることが出来ますが、洋服ブラシでほどけなくなった毛玉は、引っ張らずにやさしくカットしましょう。 ※製品の性質上、毛玉が発生しにくいものはあっても、発生しないものは存在しません。毛玉の除去はカシミヤのお手入れの一環として行いましょう。
5.クリーニング
カシミヤは素材の特性上、非常にデリケートな素材です。
長く大事にカシミヤニットをご着用頂くためにも、取り扱い表示に従って、正しいお洗濯方法でクリーニングすることをお勧めします。
6.シーズンオフ
シーズンオフの保管の際は湿気と汚れをしっかり除去し、必ず防虫剤と共に通気性の良い場所で保管しましょう。
※お手入れの注意ポイント
<合成繊維のブラシは控える>
カシミヤニットのお手入れで注意する事として、合成繊維のブラシを使わないことを強くお勧めします。 合成繊維のブラシを使うことで静電気が発生しやすくなります。 静電気は繊維や生地の裂傷につながり、ほこりや汚れの発生を引き起こします。 ブラッシングの際は、柔らかな天然繊維のブラシを使用する事をお勧めいたします。
以上のように、カシミヤの特徴をしっかりと理解し、丁寧にお手入れをしていきますと、味わいが深まり長く愛用することが出来ます。
是非、ご愛用のカシミヤ製品を大事に育てて行きましょう。
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